Vol.9 ドラム、ドラム、ドラム!!!

プロドラマー大集結!

 去年の阪神優勝以来、すっかりご無沙汰してしまった……。別に、日々なぁ〜んにも
感じてなぁ〜いってわけじゃなかったんですけど、ついついノボォ〜っと過ごしてしま
いました(ちょっと反省)。
 久しぶりのコラムなんで、昨今の中国サポーター騒動とか終戦記念日に絡めて、
また毒を吐いてやろうとも思ったけど、オリンピックが始まって、
どうせまた日本じゅうのマスコミが「感動をありがとうぅぅぅ〜!」の大合唱になるん
だろうから、その時にとりまとめて毒を吐くことにしました。きっと、普通にテレビ観て
てもムカムカしてこのコラムに書きたくなるんだろうし。
 そんなわけで、今回は先日、恥ずかしながら講師として参加してきた
“つのだ☆ひろサマードラムスクール"の話題にしようと思います。

 つのだ☆ひろサマードラムスクール、略してSDS—-このイベントは毎年夏に、
全国のアマチュアドラマーを集めて開催されている合宿形式のドラムセミナーな
んですね。
今年、何と25回目! 我が師匠・つのだ☆ひろがずーーーっと主宰している、
世界唯一で最も歴史のあるイベントです。例年、著名なプロ・ドラマーが講師やゲストと
して参加しているんですが、今年は25周年記念ということで海外からのゲストも
ドドォ〜ンと来ちゃいました。まずはB’zとか氷室京介のサポートや自身のバンドで
活動中のイケメン&テクニカルドラマー、シェーン・ガラーズ。すごく気さくで、
僕のようなペーペー・ドラマーとも気軽に話をしてくれたのが、とても嬉しかった♪
そしてもう1人、デニス・チェンバース! もうドラマーなら誰もが知っているであろう
世界的に有名なドラマーです。☆師匠の友人ってこともあって、ひと晩だけだったけど
遊びに来てくれました。彼のプレイを間近で見たことも感動だったけど、何より驚いた
のは、彼が発しているオーラ。もう、そこにいるだけで「俺が世界のデニチェンだぁ〜!」
っていう雰囲気に圧倒されてしまいました。
 一方の日本人ドラマーも豪華なゲストでしたよ〜ん。ANTHEMの本間大嗣さん、
S.O.A.Pのsakuraさん、元ジュディマリの五十嵐公太さん、 SMAPやaikoのサポート
ドラマー、大久保太さん、スピードメタルバンドGARGOYLEのKATSUJIさん……。
こんな面々が4日間も一緒に過ごすわけですから、ドラムだけじゃなくて、
いろんな話をしながらずっと盛り上がっているわけです。当然、お互いの刺激にも
なります。毎年いろんな楽しいハプニングが続出したり、
滅多に顔を合わせられないプロのドラマー同士が夢中になって技の研究に没頭したり
するんだけど、実はメインとなるテーマはずっと変わっていないんですね。
わかりやすく言うと、音楽を楽しく演奏するためにドラマーとして何が必要か、
そしてそのための正しい練習方法は?ということです。
 ドラマーばかりが集まっているという空間っていうのは、
もしかして「うげっ、気持ちわる!」と感じる人がいるかもしれませんね。
「だって、ドラムの技の品評会とか研究会みたいなものなんでしょ? 
ドラムってそもそもそういう楽器じゃないだろうに。他の楽器が加わってのアンサブルが
あってこそのドラムだし、そんなマニアックな研究会的な集まりはいらないじゃん?」っ
ていうように考えて、SDSを敬遠しているドラマーもいるという話も聞きます。
ん〜〜、確かにその気持ち、わかる! でも、つのだ☆ひろのSDSっていうのは、
決してそうじゃないんです。
 つのだ☆ひろが考案した『ネオグルーヴ理論』っていうものがあります。
「ほら、もっとノリがさぁ、グッとくるようなさぁ」みたいな話ってよくありますよね。
その「グッとくる」ということを具体的に体の動きできちんと把握できる—-簡単に
言うとこういうことなんです。これこそがドラムの基本だし、これができないと何を
どう練習しても、ものすごく遠回りになっちゃうんですね。手が速く動くとか、
ウルトラ級の大技ができるとか、そういうことの前に、ドラマーとして絶対に必要な
ことなんですね。
 いや、っていうかですね、これを教えてもらったおかげで僕のようなテクニックが
まったくない者でも、どうにか人前で演奏できてるんです。
そういう意味でも、☆師匠にはものすごく感謝してます、ハイ。

☆の遺伝子

 ところで毎回SDSには、前記に紹介したドラマー以外に、
僕と同じ☆師匠の弟子が2人、講師として参加しています。1人は以前このコラムにも
書いた"クマちゃん"こと熊野隆治。
現在もまだアメリカに音楽留学中なんですが、毎年SDSに合わせて戻ってきてるんです
(今年末には正式に帰国予定らしいですけど)。アメリカまでドラムの勉強をしに
行くぐらいですから、そりゃもう研究熱心! 今回のSDSでも、☆師匠の理論に
アメリカで学んだものをミックスしたものを受講生に教えていたようです。
オマケに英語までペラペラ! ☆師匠の好奇心旺盛な部分をしっかり受け継いで
いる門下生なんですね。そしてもう1人の弟子が"ワカ"こと村上広樹。
まあ、たいていのドラマー(プロを含む)が「ンゲッ!?」って驚くほどの
テクニシャン。何がどうなってるのかわからないようなウルトラ技を、
平気な顔をしてやってのける凄腕の持ち主です。
☆師匠ですら「こいつはオレよりテクニックがある」と言うぐらいですから。
さらにドラムの教え方がすごくウマい! ☆師匠のテクニカルな部分と教える際の
理論を引き継いでいるドラマーです。
 そして僕……。クマちゃんやワカに比べたらテクニックなんてはるかに劣ってます。
彼らに比べたら何もできないも同然(^o^;;)。何しろ、弟子の中ではダントツに練習嫌い!
それでも門下生3人衆の中に加えてもらえて、師匠のバックで演奏したり、
ドラムまで教えさせてもらってます。んじゃ、☆師匠の何を受け継いでいるんだ?
もしかして練習嫌いなとこ? ん〜、確かにそれもあるかなぁ、なんて思いますけど、
それよりも今回のSDSに参加して「あ、これかぁ」とふと気付いたことがありました。
ドラムのことじゃなくて、音楽全体に興味がある—-要するにドラムのフレーズが
どうしたとか、あのドラムの技がどうのってことに、他のドラマーに比べて興味が
低いみたいなんですね。同じ☆門下生のワカやクマちゃんがあれこれとドラムの技を
研究し合ってるのをそばで見ていても「ま、どーせ俺にはできないし」ってことで
済ませてる自分がいるんです。それよりも、一緒に演奏するミュージシャンと
楽しく音楽をやりたいっていう気持ちが大きい。気持ちよくなるには?ってことに
興味があるんです。だから人にドラムを教える時も、難しいことは言わずに
(っていうか、そもそも自分ができない……^_^;;)シンプルなことでも楽しくなれる
ってことに重点を置いてるんです。「コイツはね、魂でドラムを教えるんだ」って
☆師匠が他のドラマーに紹介してくれたんですが、これが一番嬉しかったし、
これこそが自分のドラマーとしての存在理由かなと。
 よく☆師匠が言ってます—-俺の育てた弟子には、1人して俺のコピーがいない—-
確かにクマちゃんもワカも僕も、とても同じ師匠に育てられたとは思えないほど3者3樣。
これが師匠の自慢だそうですが、それぞれが師匠の一部分を継承しつつ、自分なりの味を
加えて今に至ってるようです。それぞれが違うタイプのドラマーだから、一緒にいて面白
い。そういう風に育ててくれた☆師匠に感謝しつつ、自分の道っていうのが何となく見え
てきたことを喜んでいる今日この頃です。ただし! 「それほど喜んでるヒマがあったら、
もうちょっと練習したら?せめて人並みくらいにはさ」という影の声も聞こえてますけど
ね( ̄△ ̄)。 ん〜、やっぱ練習しなきゃアカンかなぁ……


左から(敬称略)大久保太、武田光太郎、熊野隆治、sakura、五十嵐公太、
つのだ☆ひろ、本間大嗣、デニス・チェンバース、村上広樹、KATSUJI
※大久保さんからお借りした写真です